AWT参加ギャラリーのアーティストが手掛ける映像作品から厳選されたビデオプログラムを上映する「AWT VIDEO」。2026年は上海のロックバンド美術館のエグゼクティブディレクター兼チーフキュレーターである朱筱蕤(X・ジュー=ノウェル)が担当します。
今年のテーマは「あなたのための旅行ガイド」(英題:Your Travel Guide To…)。あえて目的地を記さないこのタイトルは、行く先が未定であることを意味するのではなく、鑑賞者自身が自らの目的地をつくり出すための余白を示すもの。場所がいかにして可視化され、形づくられていくのかを、10人のアーティストの作品を通じて問い直します。
Artist
伊波リンダ
チチ・ウー
カンディス・ウィリアムズ
大木裕之
ケン・オキイシ
高田冬彦
田名網敬一
へ・シャンユ
山本篤
シュビギ・ラオ
監修者ステートメント
旅行ガイドは、いかなる場所であれ明快に読み解くことができると謳う。ルートを選び、ランドマークを定め、「移動」を持ち運び可能で消費しやすい「知識」へと変換してみせる。しかし「あなたのための旅行ガイド」(英題:Your Travel Guide To…)というタイトルは、あえて目的地を特定していない。ここに集められた作品群は特定の場所を描写するのではなく、そもそも場所というものがどのようにして可視化されるのかを問うものだ──何に名が与えられ、何が歴史に刻まれ、何が地図に記され、そして何が視界の周縁にとどまるのかを。
カナダの研究者キャサリン・マッキトリックによる「地理とは常に人間の営みである」という命題に倣い、今年のAWT VIDEOは、地理を境界線で区切られた領域としてではなく、移住、記憶、インフラ、労働、テクノロジー、そして人・イメージ・思想の循環を通して絶えず生成されるものとして捉える。場所とは中立的な背景などではなく、生きた経験、一様ではない歴史、そして日常の実践を通じて浮かび上がるものだ。
このプログラムでは、手書きの日記や繰り返される旅、季節ごとの再訪、家庭での日課、ドローイング、そして大部分が不可視であるデジタルインフラが世界を読み解く手段となる。歴史は不変の記録としてではなく、移動、投影、忘却、そして競合する知のあり方によって形づくられる重層的な場として姿を現す。見慣れた道を歩いたり、カレンダーの日付に印をつけたり、共有のキッチンに入ったり、センサーにスマートフォンをかざしたりといったありふれた日常の行為が、複雑な地理空間を渡り歩くための術(すべ)となるのだ。
──X・ジュー=ノウェル
会場
千代⽥区丸の内1-3-2 三井住友銀⾏東館 1階 アース・ガーデン11⽉4⽇(水)–8⽇(⽇)
10:00–18:00
無料
