会期:2023年7月29日(土) ‒ 9月9日(土) *夏季休廊:8月13 (日) ‒ 8月21日(月)
会場:シュウゴアーツ
開廊時間:火〜土曜 11:00 – 18:00(日月祝休廊)
企画:石井美奈⼦
協力:ベンキュージャパン
詳細はこちら
https://shugoarts.com/news/67309/
自分が映像というメディアに惹かれるのは、自分の人生を一つの表現として、記録としてそこに転写できると考えているからだと思います。
そして、映像=光であり、その光の有無=存在の有無につながっているところも好きです。
フィジカルな物体ではなく、現象としての存在であること。なので、結局、自分は映像作品の制作を通して「存在論」の周辺を動き続けているとも言えます。
こんな自分の映像は恒常的な空間ではなく、仮設的な「小屋」で上映されるのがふさわしいのかもしれません。
山本篤の作品には虚飾がない。
山本はよく「自分は反応体」だという。環境によって引き起こされる自分の反応、つまり、ある現象として存在する自分自身の思考や感情を、物質的な世界に存在させるためのメディウムとして映像を選んだ。そのため一見ナンセンスに見える山本の作品は、全て本人を通じて感じ取られたあらゆるリアリティの断片なのである。
山本は平日、非営利団体に勤めて社会のために仕事をする。帰宅して奥さんや子供達、両親と時間を過ごす。そして週末は一人で、またはアーティストの仲間達と、ときに家族も巻き込んで制作を行う。作り溜めた作品数は291本になった。撮影している時間は「自分の人生が定着する」最高の瞬間なのだという。撮影中は思い通りにならないことも多い。うっかり知らない間に撮れてしまったものもある。それでも映像に映ったものを全て自分ごととして引き受けて作品にしている。日常もアートも人生も山本篤に境界線はない。だからこそ山本作品は地に足がついた芸術で、滑稽も悲哀も含めてとても美しい。